自宅サウナで始める効果的な熱中症対策 - 【サウナードクター解説】

自宅サウナで始める効果的な熱中症対策 - 【サウナードクター解説】

近年、日本の夏はますます過酷になっています。猛暑日が増え、熱中症のリスクも高まっています。このような状況下で、私たちはどのように身を守ればよいのでしょうか。実は、意外な対策方法として注目されているのが「サウナ」です。特に「自宅サウナ」や「家庭用サウナ」の利用が、熱中症対策に効果的だと言われています。

本コラムでは、サウナと熱中症対策の関係性、自宅サウナの導入メリット、そして効果的な使用方法について、サウナギアを展開している「madsaunist」のボードメンバーでサウナドクターとして活動されている現役医師のYsK(ヨースケ)氏の解説を加えて、詳しく紹介していきます。

 

1.サウナと熱中症対策の意外な関係

 

サウナと熱中症対策の意外な関係


サウナと聞くと、むしろ熱中症のリスクが高まるのではないかと思う方もいるかもしれません。しかし、適切な方法でサウナを利用することで、体の暑熱順化が促進され、結果として熱中症に強い体質を作ることができるのです。


1.1 暑熱順化(しょねつじゅんか)

暑熱順化とは、

高温環境に繰り返しさらされることで、体が暑さに慣れることです。この過程で、以下のような変化が体内で起こります:

  • 発汗量の増加
  • 皮膚血流量の増加
  • 心拍数の低下
  • 体温上昇の抑制

これらの効果により、日常生活での暑さへの耐性が付き、結果として熱中症のリスクを低減することができます。

自宅サウナによる暑熱順化の効果


定期的にサウナを利用することでも、体は徐々に高温に慣れ、熱順化が進むと言われています。サウナによる熱中症対策効果の詳しいポイントや事例をサウナードクターのYsK氏に伺っていきましょう。

 

1.2 サウナによる暑熱順化の促進(YsK解説)

東京オリンピックやカタールワールドカップなど、暑い環境で開催されるスポーツイベントが近年多く執り行われている中で、熱ストレス環境下での運動パフォーマンスに関する研究が活発化しています。

暑い環境での運動では、発汗が増加することで脱水傾向になり、心血管系への変化を介して、最大酸素消費量(VO 2 max)の減少(全身持久力の低下)を引き起こします。また、運動中の代謝の変化によって競技中の疲労の増加につながると言われています。近年これらの身体的変化を少しでも抑制する方法として暑熱順化が注目されています。


継続的な暑熱環境下のトレーニングによって起こる生理的な適応を暑熱順化といい(能動的暑熱順化),この適応によって心拍数の低下,運動時の深部体温の急な上昇の予防,疲労度の低下,発汗開始までにかかる時間の減少,発汗によって失われる電解質(≒塩分などのミネラル分)の減少,発汗量の増加,血漿量(≒血液量)の増加などの変化が期待できます。( Sports Med Auckl NZ, 12 (5) : 302-312, 1991.)



 一般的に暑熱順化には10〜14日のトレーニング期間が必要とされており,高強度インターバルトレーニング(小休憩を取りながら負荷の高い運動を繰り返す)または中〜高強度の持久トレーニング(ランニングなど)を温かい環境(≈35℃以上)で行うことが推奨されています。


上述の順化は”暑い所でトレーニングしていたら身体が慣れる”という類に近いですが、近年はサウナ入浴や、お湯に浸かるなどの、トレーニング環境とは異なる環境での”受動的な暑熱順化”に注目が集まっています。また、様々な温度帯やプロトコルで研究が行われていますが、これまでパフォーマンスの改善効果については一定の見解を得られていませんでした。

しかしながら、最近の研究では、高温での受動的な暑熱順化(サウナ入浴など)が能動的な暑熱順化と同様の適応を誘発し、パフォーマンスを向上させるという報告もあります。(Glazachev et al.、2020; Zapara et al.、2020)。

 

サウナによる熱暴露による暑熱順化に関する研究も活発に行われており、

例えば、

ニュージーランドの軍人を対象としたサウナによる暑熱順化の促進に関する研究では、運動時の平均体幹温度 、皮膚温度、心拍数の低下が認められており(Ergonomics, 66(1), 49–60.)サウナ入浴により上述のような暑熱順化が促進されたことが示されています。

  

また、若いセミプロのアスリートを対象とした研究では、3週間にわたるサウナ入浴によって、筋肉の柔軟性向上や、作業能力の向上などの身体的パファーマンスの改善や、基礎体温や運動後血圧の低下や最大酸素摂取量の増加(≒全身持久力の向上)などの生理的パフォーマンスの改善効果が認められています。( Journal of thermal biology, 100 (2021): 103048 )

  

これはアスリートに限った話ではなく、健康なトレーニングをしていない男性を対象にした研究でも、3週間のサウナ入浴によって、高体温でのパフォーマンスの改善効果が示されています。(Journal of thermal biology, 96, pp. 102837 )

 

これらの論文はRCTという比較的エビデンスレベルの高い研究であり、暑熱順化によるパフォーマンスの向上効果もある程度は期待できそうです。

 


2.自宅サウナのメリット

熱中症対策における自宅サウナのメリット

自宅にサウナを設置することで、以下のようなメリットが得られます。

2.1 利用頻度の向上

自宅のサウナのメリットは、好きな時間に、いつでもサウナを使用できることで、日々の生活に組み込みやすく、継続的に熱中症対策が可能です。

2.2 プライバシーの確保

自宅に居ながら、完全なプライバシーが確保されていて、心身ともにリラックスした状態でサウナを確保できます。

2.3 衛生面の確保

公共施設の利用に不安を感じる理由として多い「衛生面」。サウナ室内での他人の汗や、サウナ後に身体の汗を流さずに水風呂に入る方もしばしば。自宅でのサウナなら、自分で管理しやすく、衛生面での不安を解消できます。

2.4 カスタマイズの自由度

自宅サウナは、自分好みの温度や湿度を設定できます。また、アロマオイルを使用したり、好みの音楽を流したりと、より快適な環境づくりが可能です。

 

 

3.自宅サウナの種類と選び方

自宅サウナの種類と選び方

自宅サウナを導入する際は、以下のような種類があります。それぞれの特徴を理解し、自分に合ったタイプを選びましょう。

3.1 据え置き型サウナ

自宅用のサウナとして多くの人に愛されているのが、室内に設置できるタイプの屋内サウナです。
天候を気にすることなく好きなタイミングで、いつでもサウナを楽しむことができます。
浴室や脱衣所など、さまざまなスペースに設置することができ、1人用から2~3人用までさまざまなサイズ感があります。



3.2 バレルサウナ

バレルサウナとは、樽のような形状をした木製サウナのことを指します。

丸い形状をしているためサウナの蒸気をムラなく循環させることができるという魅力があります。
サウナ内は天然木の香りが満たされるため、リラックス効果を期待できます。

 

3.3 テントサウナ

折りたたみ式で収納も楽々。アウトドアでも使える汎用性の高いテントです。
ストーブの汎用性も高く、「薪ストーブ」「電気ストーブ」「バイオストーブ」など、幅広く利用でき、比較的安価に導入できます。

 

選ぶ側のポイントとしては、以下の点を考慮しましょう。

  • 利用人数
  • 設置スペース
  • 予算
  • 温度調節機能
  • 安全性能

 

 

4.自宅サウナを活用した熱中症対策

自宅サウナを活用した熱中症対策

自宅でサウナを導入したら、次は自宅でサウナを熱中症対策として最大限活用するために、以下のポイントに注意しましょう。

4.1 利用頻度と時間

熱順化を促進するためには、週に3〜4回、1回15〜20分程度のサウナ利用が効果的です。ただし、初めは5〜10分程度から始め、徐々に時間を延ばしていくことをお勧めします。


「多くの文献では週3回、1セッション90分(サウナ3-5セット)程度のサウナ入浴がプロトコルとして用いられているようで、期間としては3週間程度の継続が必要と考えます。」

 

4.2 水分補給

サウナ利用中は大量の汗をかくため、水分補給ができます。サウナの前後、そして利用中にも適度に水分を摂取しましょう。ミネラルを含むスポーツドリンクなどを用意してサウナを利用しましょう。

 

「サウナ中は身体が脱水傾向に傾いているため、低浸透圧飲料の摂取を心がけましょう。低浸透圧飲料に関する詳しい解説は、こちら。

汗と共にミネラル分も喪失していきますが、ミネラル分の欠乏は後から起こるため、サウナ終了後もミネラル分はしっかりと摂取するよう心がけましょう。サウナ中は低浸透圧飲料、サウナ後は等浸透圧飲料の摂取がおすすめです。」

 

4.3 クールダウンの方法

サウナの後は適度に体を冷やし、体温を下げましょう。冷水シャワーや水風呂、冷たいタオルで体を拭くなどの方法があります。

「夏は身体の表面の水滴をあえて拭き取らず、風や扇風機等で身体の表面の水滴を気化させると、気化熱を使って身体をクールダウンすることができます。」

4.4 サウナ後の休憩(ととのい/外気浴)

サウナ後は、あるいは水風呂の後は、十分な休憩を取ること。外気浴など、涼しい環境でゆっくり過ごしましょう。

4.5 生活習慣への組み込み

効果を最大化するには、サウナ利用を日常生活に取り入れるとよいでしょう。例えば、入浴時にサウナを利用し、就寝前のリラックスタイムとして活用するといいでしょう。

 

「暑熱順化は暑熱環境下での継続的なトレーニングによって起こる身体の変化であり、一方、サウナ入浴は運動に近い心拍数の変化をきたすため、ジョギング等の運動に似た身体の負荷になります。つまり、暑熱順化していない状態で行うサウナ入浴は、高熱環境下での運動に似た要素があるため、開始当初は熱中症になるリスクが通常より高いことになります。くれぐれも最初から無理はせず、サウナ温度を徐々に上げて行ったり、入浴時間を徐々に伸ばして行くなどの工夫が大切です。」

 

5.自宅サウナ利用時の注意点

熱中症対策における自宅サウナ利用時の注意点

自宅でサウナを安全に利用するためには、いくつか注意点があります。

5.1 健康状態の確認

体調が優れない時や飲酒後の利用は避けましょう。また、心臓病や高血圧などの持病がある場合は、必ず医師に相談のうえ利用を始めてください。

5.2 温度管理

自宅サウナでの温度設定には十分注意しましょう。一般的に80〜100℃が適温となっていますが、個人の体調や好みに合わせて調整することが大切です。

 

「サウナ入浴によって心拍数が上がりますが、心拍数の上昇は運動強度と相関しています。サウナ入浴中は50-70%運動強度程度の状態がサウナ中のストレスホルモンの分泌が良くなると言われていますが、老若男女、個人によって運動強度は異なりますのでくれぐれも無理な入浴方法は行わないようにしましょう。(自分に合った目標心拍数が知りたい方はこちらを参照してください。)」

 

5.3 時間管理

長時間のサウナ利用は、逆効果を招きます。タイマーを使用するなどして、適切な時間管理を心がけましょう。

5.4 清潔の維持

自宅の清潔維持も重要です。定期的な清掃を行い、カビや細菌の繁殖を防ぐことを心がけましょう。

5.5 子どもや高齢者への配慮

子どもや高齢者がサウナを利用する際は、特に注意が必要です。必ず大人が付き添い、体調の変化に敏感に反応できるようにしましょう。

 

6.おすすめの自宅サウナは、日本初の無煙を実現したバイオエタノールサウナ『IESAUNA』

熱中症対策におすすめなおすすめの自宅サウナは、日本初の無煙を実現したバイオエタノールサウナ『IESAUNA』

 

自宅サウナの種類は多数ありますが、その中でも比較的安価で且つ、本格的な『IESAUNA』を紹介します。

6.1 ベランダに置ける無煙テントサウナ

IESAUNAは、独自開発のバイオストーブによって無煙機構を実現しています。約1畳分のコンパクトなテントサウナで、煙が発生しないため、住宅街やマンションのベランダで使用しても問題無く楽しむことができます。
※集合住宅の場合、管理規約の確認や避難経路確保が必要です。


6.2 お家で本格サウナ

最大110℃程度まで温度があがり、ロウリュも可能で自宅で本格サウナが楽しめます。IESAUNAを使用すれば、毎日サウナ施設へ通うよりも費用を抑えられます。

6.3 自分だけのプライベートサウナ

室内で好きな音楽を聴いたり、好きなアロマでロウリュをしたり、誰にも気を使うことのないプライベートサウナを実現できます。
また、より快適なサウナにする為に様々なカスタマイズが可能です!


6.4 IESAUNA×madsaunistカスタマイズ

  • STG(ストーンタワーガード)

madsaunistが開発した煙突周囲にサウナストーンを高く詰むことができるストーンガードです。煙突の熱を効率よくサウナストーンに伝えます。サウナストーンを増量することで、輻射熱をより多く発生することができ、身体をゆっくりじっくりと温めます。

家庭用サウナ IESAUNA フィンランド産サウナストーン画像

 

  • ヘスティア

madsaunistが数多の実験を繰り返すことで完成したスチームジェネレーター『ヘスティア』 です。この水蒸気発生器は100℃を超える高温の”過熱水蒸気”を発生させることができます。一般的にロウリュウ等で発生する”飽和水蒸気”とは全く特性の異なる水蒸気で、水蒸気自体が輻射熱を発生することができるため、空間全体から身体に熱が伝わります。また、蒸気の粒度が細かく、体表で水滴に戻る過程で凝集熱を発生させ、体表からも身体を効果的に温めることができます。

 高温の過熱水蒸気を発生させるIESAUNAのオプション品『ヘスティア』

 

  • MAD STONE

madsaunistがサウナストーンに最も適した石を世界中から探し回った結果、サウナストーンに最も適している石は日本にありました。硬度、密度、蓄熱性全てにおいて優れたサウナストーンは石を変えただけでサウナの体感が変わると言われています。月間製造数に制限がある、大変貴重なサウナストーンです。

硬度、密度、蓄熱性全てにおいて優れたサウナストーン

 

自宅サウナのIESAUNAはこちら

madsaunistはこちら

 

結論

自宅サウナは熱中症対策において、非常に効果的な方法です。適切な使用方法、定期的に利用することで、熱中症対策、熱中症に強い体質を作ることができます。

自宅にサウナを導入するには、自分のライフスタイルに合ったタイプを選ぶこと、安全に利用することを心がけましょう。生活の中で利用することで、効果的な熱中症対策、安全で快適な生活を送れるはずです。

暑い夏を乗りきるために、自宅でサウナを活用した熱中症対策を始めてみませんか?健康的で快適な生活のために、ぜひご検討ください。

 

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